薬師寺の玄奘三蔵院の平山郁夫の壁画
お盆に薬師寺に行くのも、今年で5回目。お盆には写経をします。
台風が来るかも、と、朝8時半から写経をしたので、写経のご褒美のおうどんが提供されるまで、境内をお参りしてみました。何度も拝観しているのですが、今回は玄奘三蔵院で初めて知ったことがいろいろあったので、メモを書きます。
まずは、行かれたこと・壁画をご覧になったことがない方のために参考サイトをご紹介。
www.asahi.com
私がみたところ、お堂にある全部の壁画が掲載されています。
長安からインドのナーランダまで、お経を受けに行かれた三蔵法師さんをお祀りしているお堂です。扁額には「不東」=目的を達するまで、東は向かないぞ、と書いてあります。「ふるさと」の歌を思い出します(♪志を果たしていつの日にか帰らん)。
1.明けゆく長安大雁塔
ここからスタート。そして、ナーランダーで受けたたくさんのお経を翻訳して納めたのがこの塔。
これは通路の左側なのですが、反対側の展示室のこの絵の側には、ラピスラズリの青空に金で太陽が描かれています。
2.嘉峪関を行く
万里の長城の西の端だそうです。
3.高昌故城
左側の絵の絵の中から手前に向かう道ですが、この絵の前を移動しても、常に自分に向かってきます(自分についてくるように見える!)。
4.西方浄土須弥山
須弥山は世界の中心。真ん中の絵の、雪を被った山の高いものがエベレスト。中央の絵に、ゾウがひっそり描かれています!(意図があったかどうかはわかりません)。実際にみないとわからないかとは思いますが、雪の白とグレーの中に、インドらしい聖なる生き物の白いゾウが確かにいます。
そしてこの3枚の須弥山ですが、右から、日光菩薩、薬師如来、月光菩薩、ということで、これらの絵が玄奘三蔵院のご本尊ということです。
ところで、先ほど書いた、青い天井はラピスラズリなのですが、これは、東方瑠璃光薬師浄土を意味しているとも考えられているそうです。
そして、この須弥山の3枚の絵の前の空にだけ、星の他に散華が散っています。
脱線: この、通路右側の展示室の床は、四角い茶色のようなタイルっぽいものなのですが、これはタクラマカン砂漠を表現しているそうです。須弥山の絵の前には、草の絵で四角く囲われています。ここがオアシス。草はラクダ草だそうです。
そしてこのタイルは248枚。三蔵法師が長安に戻ったのが648年。これは大化の改新の頃。大化は最初の日本の年号と言われていて、今の令和は248番目の年号なんだそうです。ただの偶然、といって係の方は笑っておられました。
5.バーミヤン石窟
摩崖仏が2001年にタリバンによって破壊されましたが、平山郁夫さんがこの絵を完成したのはその前年だそうです。通路から絵までが遠いのではっきり見えませんが、うっすら、摩崖仏が描かれているように見えたような気がしました。
通路の左側に、摩崖仏破壊後のバーミヤンの写真もかけてあります。
7.ナーランダの月
この絵の、上図に緑で示した部分に、合掌しながら歩いている人物がいるように見えます。これは実は、平山画伯に壁画を依頼した本人なのに完成する前に亡くなってしまった、5代目の管主の高田好胤さんの姿なのだそうです。絵ができてから、描きこんだ、とのこと。この絵は通路の左側にかけられているので、高田好胤さんは須弥山の絵を拝んでいるようにも見えます。
以上です。
この後、食堂(じきどう)にも行きました。ここは新しい建物で、田渕俊夫画伯の阿弥陀三尊浄土図などを見ることができます。美しい絵です。
奈良でも南のほうは台風で大変なようですが、こちらは雨もパラパラ時々降る程度です。